見積り条件の提示

建設業法上、違反となるおそれがあるケース

① 元請負人が不明確な工事内容の提示等、あいまいな見積り条件によって下請負人に見積もりを行わせたケース

 

② 元請負人が下請負人から項に内容等の見積条件に関する質問を受けた際に、元請負人が、未回答あるいはあいまいな回答をしたケース

建設業法上、違反となるケース

③ 元請負人が予定価格700万円の下請契約を締結する際に、見積り期間を3日として下請負人に見積りを行わせたケース

第20条(建設工事の見積もり等)

1 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費、その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積もりを行うよう努めなければならない。

 

2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。

 

3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあっては契約をする以前に、入札の方法により競争に付する場合にあっては入札を行う以前に、第19条第1号および第3号から第14号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結または入札までに、建設業者が当該建設工事の見積もりをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

①と②のケースは、建設業法第20条第3項に違反するおそれがあります。

 

③のケースは、建設業法第20条第3項に違反します。

建設業法第20条第3項では、元請人は下請契約を締結する以前に下記の1.に示す具体的な内容をして請負人に提示して、その後下請負人が当該下請工事の見積もりをするために必要な一定の期間を設けることが義務付けられています。

 

これは、下請契約が適正に締結されるためには、元請負人が下請負人に対してあらかじめ契約の内容となるべき重要な事項を提示して、適正な見積もり期間を設けて見積り落としの問題が生じないように検討する期間を確保して請負代金の計算その他請負契約の締結に関する判断を行わせることが必要であることが考慮されています。

1.見積条件の提示にあたっては下請契約の具体的内容を提示することが必要です

建設業法第20条第3項により、元請負人が下請負人に対して具体的内容を提示しなければならない事項は、第19条により請負契約書に記載することが義務付けられている事項

  • 工事内容
  • 工事着手および工事完成の時期
  • 前金払または出来高部分に対する支払の時期および方法等

のうち、請負代金を除くすべての事項ということになります。

これらのうち、「工事内容」を例にすると、元請負人が下請負人に対して最低限提示すべき事項として、

  • 工事名称
  • 施工場所
  • 設計図書
  • 下請工事の責任施工範囲
  • 下請工事の工程および下請工事を含む工事の全体工程
  • 見積り条件および他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
  • 施工環境、施工制約に関する事項
  • 材料費、労災防止対策、産廃処理等に係る費用負担の区分に関する事項

が挙げられます。

 

また、元請負人は、具体的内容が確定していない事項については、その旨を明確に示さなければなりません。

 

施工条件が確定していない等の正当な理由がないにもかかわらず、元請負人が下請負人に対して、契約までの間に上記の事項等に関して具体的な内容を提示しない場合には、建設業法第20条第3項に違反することになります。

2.下請契約の内容は書面で提示すること・作業内容を明確にすることが望ましい

元請負人が見積りを依頼する際には、下請負人に対して工事の具体的な内容について、口頭ではなく書面によってその内容を示すことが望ましいとされています。

 

さらに、元請負人は「施工条件・範囲リスト」に提示されているように、材料・機器・図面・書類・運搬・足場・養生・片付け・安全などの作業内容を明確にしておくことが望ましいとされています。

3.予定価格の額に応じて一定の見積もり期間を設ける必要があります

建設業法第20条第3項により、元請負人は以下のとおり下請負人が見積もりを行うために必要な一定の期間を設けなければなりません。

 

ここでいう一定の期間は、建設業法施工令第6条に規定されています。

工事の予定価格 一定の見積もり期間
500万円未満の工事 1日以上
500万円以上5,000万円未満の工事 10日以上
5,000万円以上の工事 15日以上

やむを得ない事情がある場合は、②と③の期間は5日以内に限り短縮することができます。

 

なお、上記の見積もり期間は、下請負人が見積もりを行うための最短期間を定めたにすぎませんから、元請負人は下請負人に対して十分な見積もり期間を設けることが望ましいとされています。