3.許可を受けるための要件

一般建設業の許可要件

建設業の許可を受けるためには、次の5つの要件をすべて満たしていることが必要です。

(7条、8条)

1.「経営業務の管理責任者」がいること

(7条1号)

この基準は、事業者の経営陣に一定の人的要件の配置を求めることにより、一品ごとの受注生産、契約金額が多額、請負者が工事目的物の引き渡し後においても長期間にわたって瑕疵担保責任を負うという、他の産業とは異なる産業特性を有する建設業における適正経営の確保を目的としています。

経営業務の管理責任者について

法人の場合は、その「役員」のうち「常勤」である者の1人が、

個人事業主の場合は、その者またはその支配人のうち1人が、

次のいずれかに該当しなければなりません。

(7条1号)

経営業務の管理責任者は、申請会社の主たる営業所における「常勤」の者でなければなりません。

 

そのため、申請会社以外の他社の代表取締役(一人取締役を含む)、持分会社の代表社員、組合の代表理事、清算人を兼任することや、他で個人事業を営むことは、原則としてできません。

 

また同一企業であっても、同一の営業所である場合を除き、管理建築士や宅地建物取引士等、他の法令により「専任性」を要するとされる者を兼務することもできません。

 

さらに、他の建設業許可業者の経営業務の管理責任者、専任技術者、建設業法施工令に規定する使用人、国家資格者等監理技術者と兼ねることもできません。

 

一方で、同一の企業内であれば、要件を満たしている状況下で2以上の業種について1人で経営業務の管理責任者になることができます。

ここでいう法人の「役員」とは

株式会社または有限会社の「取締役」。委員会設置会社の「執行役」、持分が一社の「業務を執行する社員」。法人格のある組合の「理事」などをいいます。

 

また、平成28年6月1日より、新たに以下の者も追加されました。

 

取締役や執行役、業務を執行する社員に準ずる地位にあって、許可を受けようとする建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員等

 

上記以外の執行役員、監査役、会計参与、監事、事務局長等は、「役員」に含まれません。

 

会社法上の「役員」とは概念が異なりますので、注意が必要です。

1 許可を受けようとする建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者(7条1号イ)

 

「経営業務の管理責任者としての経験を有する者」とは、法人の役員、個人の事業主または支配人その他支店長、営業所長等、営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行など建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する者をいいます。

2 国土交通大臣が1に掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者(7条1号ロ)

 

国土交通大臣が「許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」と同等以上の能力を有するものと認定した者とは、次のものをいいます。

 

① 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること

 

② 許可を受けようとする建設業に関し、経営管理の管理責任者に準ずる地位にあって、次のいずれかの経験を有していること

 

1.執行役員として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験

 

2.7年以上経営業務を補佐した経験

 

③ その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者

経営業務の管理責任者に準ずる地位とは

使用人が法人の場合は、、役員に次ぐ職制上の地位、たとえば、経営部門の取締役に次ぐ地位にいた者(営業部長、総務部長等)をいいます。

 

個人の場合は、事業主に次ぐ職制上の地位、たとえば、個人事業主の専従者である子や配偶者をいいます。

2.「専任技術者」を営業所ごとに置いていること

(7条2号)

この基準は、各営業所に、許可を受けようとする建設業に関する一定の資格または経験を有する技術者を選任して配置することを求めるものです。

 

この基準の趣旨は、建設工事についての専門知識を有する技術者の恒常的な技術指導のもとで営業が行われる体制を構築することで、建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保することにあります。

 

したがって、営業所の専任技術者は、技術上の統括責任者としての役割を担える人材を選ぶ必要があります。

専任技術者について

その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任の者をおく必要があります。

(7条2号)

ここで、「専任」とは、その「営業所」に「常勤」して専らその職務に従事することをいいます。

 

① 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、高校の所定学科(旧実業高校を含む)卒業後5年以上、または、大学の所定学科(高等専門学校・旧専門学校を含む)を卒業後3年以上、「実務経験」を有する者

(7条2号イ)

 

② 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、10年以上の「実務経験」を有する者(学歴・資格を問わない

(7条2号ロ)

※ 電気工事および消防設備工事については、それぞれ電気工事士法、消防法等により電気工事士免状および消防設備士免状等の交付を受けた者でなければ、一定の工事に直接従事できないこととされています。

 

③ ①②と同等またはそれ以上の知識・技術・技能を有すると認められた者

 

1.指定学科に関し、旧実業学校卒業検定に合格後5年以上・旧専門学校卒業程度検定に合格後3年以上の「実務経験」を有する者

2.「資格」区分に該当する者(国家資格等)

3.その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者

「技術者」の用語と配置義務について

建設業許可に関連して、「技術者」という用語がいくつか出てきます。

 

それぞれの意味を正確に把握して申請に臨みましょう。

aa)専任技術者

 

建設業を営む事業者が、各営業所で受ける許可ごとに配置しなければならない、一定の要件を満たす技術者をいいます。

 

 

bb)配置技術者

 

工事の適正な施工を確保するため、施工現場に配置して技術上の管理を行う、一定の資格経験を有する技術者をいいます。

 

「主任技術者」「監理技術者」がこれに該当します。

 

 

cc)主任技術者

 

工事現場の技術上の管理をつかさどる技術者をいいます。

 

主任技術者の要件は、一般建設業の許可を受けるための専任技術者の要件と同じです。

 

 

dd)監理技術者

 

発注者から直接請け負った建設工事のうち、下請に出す施工金額の合計が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる工事現場に配置しなければならない技術者をいいます。

 

監理技術者の要件は、特定建設業の許可の基準を満たす技術者の要件と同じです。

 

監理技術者に選任された者は、同一の工期に他の現場の配置技術者を兼務することができません(現場専任性)。

3.誠実性を有していること

(7条3号)

この基準は、不良業者を排除するためのものです。

 

注文生産で契約から完成までに長期間を要し、かつ、契約額が高額となる建設工事においては、取引が事業者の信用を前提として行われることとなるため、請負契約の締結やその履行に際して不正または不誠実な行為を排除できる仕組みが必要であるため規定されています。

誠実性について

法人の場合は、当該法人またはその役員等もしくは政令で定める使用人(支店長・営業所長等)が、

 

個人の場合は、その者または政令で定める使用人が、

 

請負契約に関して「不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者」でないことを要します。

(7条3号)

 

ここで、「不正な行為」とは、請負契約の締結または履行に際して、詐欺・強迫・横領等、法律に違反する行為をいいます。

 

また、「不誠実な行為」とは、工事内容・工期等について請負契約に違反する行為をいいます。

 

なお、法人等が、暴力団の構成員である場合や建築士法・宅地建物取引業法等で「不正」または「不誠実」な行為を行ったことにより免許等の取消し処分を受け、その最終処分の日から5年を経過しない者である場合は、この要件を満たさない者として取り扱われ、許可を受けることができません。

ここでいう「役員等」とは

業務を執行する社員、取締役、執行役もしくはこれらに準ずる者または相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役もしくはこれらに準ずる者と同等以上の能力を有するものと認められる者をいいます。

4.財産的基礎または金銭的信用を有していること

(7条4号)

この基準は、建設業においては、資材の購入等、工事着工のための準備費用を要するなど、その営業にあたってある程度の資金を確保していることが必要になることから、許可を受ける建設業者としての最低限度の経済的な水準を定めています。

財産的または金銭的信用について

請負契約(軽微な建設工事に係るものを除く)を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないことが必要です。

(7条4号)

 

ここで、「財産的基礎または金銭的信用を有していること」とは、請負契約を履行するに足る財産的基礎等のあることをいいます。

 

具体的には、次の①~③のいずれかに該当する場合、原則としてこの基準に適合するものとして取り扱われることになります。

 

① 直前の決算において自己資本の額が500万円以上であること

 

② 500万円以上の資金調達能力があること

 

③ 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在許可を有していること

5.欠格要件に該当しないこと

(8条各号)

次のいずれにも該当していないことを要します。

 

①許可申請書またはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が欠けているとき。

 

② 法人では、その役員等、政令で定める使用人(支店長・営業所長等)が、個人では、その本人または支配人が、次の要件に該当しているとき。

 

1.成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ない者

 

2.不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない者

 

3.2.に該当するとして聴聞の通知を受け取った後、許可を取り消されることを避けるため廃業の届出をした者で、届出の日から5年を経過しない者

 

4.建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、または請負工事に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

 

5.禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

 

6.建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

 

7.暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

 

8.暴力団員等がその事業活動を支配する者


特定建設業の許可要件

特定建設用の許可を受けるためには、次の5つの要件をすべて満たしていることを要します。

(15条、17条・8条)

1.「経営業務の管理責任者」がいること

(15条1号・7条1号)

一般建設業と同じです。

2.「専任技術者」を営業所ごとに置いていること

次のいずれかに該当する者であることが必要です。

 

① 許可を受けようとする建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた試験に合格した者、または建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた免許を受けた者

 

② 7条2号イ・ロ・ハに該当し、かつ、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

 

③ 国土交通大臣が①または②の者と同等以上の能力を有すると認定した者

 

※ 指定建設業については、①または③に該当する者に限られます。

 

指定建設業とは、土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種です。

 

これらの業種については、施工技術の総合性等を考慮して政令で指定建設業に定められており、指定建設業について特定建設業の許可を受けようとする者の専任技術者は、1級の国家資格者、技術士の資格または国土交通大臣が認定した者でなければならないとされています。

3.誠実性を有していること

(15条1号・7条3号)

一般建設業と同じです。

4.財産的基礎または金銭的信用を有していること

(15条3号)

「財産的基礎」について、申請する直前の決算において、次の3つの要件をすべて満たすことが必要です。

 

① 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと


② 流動比率が75%以上であること


③ 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

5.欠格要件に該当しないこと

(17条・8条各号)

一般建設業と同じです。

その他の留意点

建設業界では、これまで下請企業を中心に、雇用、医療、年金保険について、法定福利費を適正に負担していない企業(いわゆる社会保険未加入企業)が多く存在し、他の業界との比較でも加入率が低いことが問題となっていました。

 

そこで、平成24年11月1日より、社会保険未加入問題への具体的な対策がスタートし、その一環として建設業許可申請に際して社会保険加入状況の確認・指導がが進められています。

 

これにより、雇用環境の改善、建設業の持続的な発展に必要な人材の確保と事業者間の公平で健全な競争環境の構築が図られています。

 

申請時には、「社会保険加入状況の確認」にも留意する必要があります。