兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
① 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
② 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1
1 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2 条件付きの権利または存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価にしたがって、この価格を定める。
贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、山上の規定によりその価額を参入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与したときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。
遺留分権利者およびその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈および前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
条件付きの権利または贈与存続期間の不確定な権利を贈与の目的とした場合において、その贈与または遺贈の一部を減殺すべきときは、遺留分権利者は、第1029条第2項の規定により定めた価格にしたがい、直ちにその残部の価額を受贈者または受遺者に給付しなければならない。
贈与は、遺贈をした後でなければ、減殺することができない。
遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。
ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思にしたがう。
贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする。
受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。
減殺を受けるべき受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。
負担付き贈与は、その目的の価額から負担の価額を控除したものについて、その減殺を請求することができる。
不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなす。
この場合において、遺留分権利者がその減殺を請求するときは、その対価を償還しなければならない。
1 減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。
ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。
2 前項の規定は、受贈者が贈与の目的につき権利を設定した場合について準用する。
1 受贈者および受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与または遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
2 前項の規定は、前条第1項ただし書きの場合について準用する。
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。
相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。
1 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
第887条第2項および第3項、第900条、第901条、第903条ならびに第904条の規定は、遺留分について準用する。