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とりこっとん企画

このページにお越しいただきありがとうございます。

つなぐ書士。がとりこっとん企画に取り組む様子。

2019年9月6日、群馬県地域・まちなか活性化応援事業の公開プレゼンテーションに登壇しました。初めて人前に出て、とりこっとんに込めた想いを語りました。

 

10分間のプレゼンテーションでは伝えきれなかった【あふれる想い】をつづっています。

WHY とりこっとん

亡妻からの宿題

なぜぼくたちが「とりこっとん」をやるのか?

それは亡妻が遺した宿題を果たすためです。

 

2015年10月、平穏に暮らしていた我が家に激震が走りました。

 

愛妻に末期の卵巣がんが見つかったのです。発見が遅く、当時住んでいた千葉にも東京にも受け入れてくれる病院はありませんでした。対象を関東全域に広げたところ、最初に受け入れを表明してくれたのが群馬大学病院でした。

余命1年半

千葉から群馬に数度の通院を経て1度目の手術を受けました。

1度目の手術直後、本人にまだ麻酔から覚めないうちに「余命1年半」を宣げられました。

 

術後の身体に、毎週片道180kmの通院はこたえます。いつ容態が急変するかも分かりません。後先を考えている余裕はありませんでした。

 

そこでぼくは、闘病の場・看取りの場として群馬を選び、勤めていた会社を辞めて2人で移住してきました。

リンパ浮腫

闘病生活は3年半に及びました。がん専門の緩和ケア診療所に転院してからの最期の3か月は、リンパ浮腫(ふしゅ)という脚のむくみとの闘いでもありました。

 

むくみがひどくなると、皮膚の表面からリンパ液が滲み出てきます。

人間の尊厳

滲み出るリンパ液を吸わせてケアするため、一般的にお医者様から勧められるのはペット用のトイレシートです。

 

ぼくはショックを受けました。【人間の尊厳】っていったい何なんだ思いました。しかし、他にさしたるアイデアもなくペット用のトイレシートを使ってみました。

 

すぐに良くない反応が出ました。トイレシートを当てた部分がかぶれたのです。生来の敏感肌に加えて、もともと人間の肌に触れることを想定していない工業製品ですから無理もありません。使い続ける訳には行かなくなりました。

 

そこで次に試したのが、女性用の使い捨て生理用品です。本人は外出できないので、ぼくが毎日ドラッグストアの生理用品売り場に足を運び、買い求めました。何度通っても漠然とした恥ずかしさに慣れることはありませんでした。意外に費用もかさみました。

 

この頃です。脚から滲み出るリンパ液を吸わせてケアするとき、どうして本来の用途とは違うものを「転用」しなければならないのだろう?どうして「専用品」は手に入らないのだろう?という疑問を持ちました。

世の中にないものは創ればいい

「世の中にないものは創ればいい」

 

群馬に来てから出会った、多くの起業家が口にする光景を見てきました。

 

そこで妻とともに、身の回り品でより便利なものを模索し、布ナプキンアドバイザー®の先生のお知恵も借りました。しかし結局、納得いくレベルのものを見せてやることはできないまま、妻は亡くなりました。

 

葬儀が終わり1か月が経った頃、亡妻がぼくに宿題を残してくれたことを思い出しました。

 

そこで、お世話になった布ナプキンの先生にご相談したところ、「完成品をつくりましょう。奥様や山田さんと同じ悩み・苦しみを持った人たちに届けましょう。」と協力を快諾してくれ「とりこっとん企画」が誕生しました。

製品プラン

とりこっとん企画の仲間たち
とりこっとん企画の仲間たち

下腿浮腫滲出液専用シート&ホルダー「とりこっとん」

 

 

シートは、肌にやさしいコットン素材です。

 

肌に直接当てる布は、簡単に手作りできる手縫いのハンカチのようなものです。洗濯して繰り返し使うことができるのでとても経済的です。いくつかのサイズを用意し、状況に応じて選べるようにします。

 

次に、ふくらはぎ用ホルダーの案です。

靴下のようにはくタイプだとつかう人の力や体勢に負担が大きいので、巻き付けるタイプを想定しています。布が固定出来て、交換の為に 簡単に着脱できるものが重要ですが、素材・形・使用感など今でも模索中です。

つながりたい方

素材メーカーや生地の問屋さん等、ぼくたちと正面から向き合っていただける方を探しています。ご存知の方がいらしたら、お声かけください。

「とりこっとん」に込めた想いと願い

想いと願い

 

コットンの素材から感じるのは、人へのやさしさ。肌とのその調和は、まるで小鳥のさえずりのように、やさしいハーモニー。

 

そこから、とりこになるこっとん「とりこっとん」が生まれました。

 

また「Tri-」には「3」とか「3つの」という意味があります。

  1. 3人での立ち上げであること。
  2. つくる人も。つかう人も。支える人も 3者がみんなhappyになること。病気の時こそ、かわいい柄の布で、毎日の中に、少しのおしゃれとときめきを。病気の人の笑顔が、支える側の幸せです。
  3. モチーフに四つ葉ではなく、三つ葉を用いた意味があります。

人は幸せの四つ葉のクローバーを必死に探し求めます。そこらじゅうにある、ありふれた三つ葉を踏みつけながら。

 

でも幸せは、実は、いまここにある。

 

病気になって気づくのは、そしてそれを支える側になって気づくのは、毎日おいしくごはんが食べられて、家族といられて、毎日笑っていられる。実は、そんなありふれた日常が、一番幸せだということ。

 

なので三つ葉には「今ここにある幸せ」を抱きしめることへの願いを込めています。

地域と人への貢献

それはベッドの上でできる地域貢献です。とりこっとんは一つ一つが手縫いです。

手縫いの方が仕上がりがやわらかいなどのメリットもありますが、あえて手縫いにしているのは、それによって「だれが」「どこにいても」作り手になることができるからです。

 

病院のベッドに寝ていると、こんなふうに感じます。「私は無力で、家族や社会のお荷物なのではないか。生きていても仕方ないのではないか。」それを聴く、支える人も、つらい思いをします。

 

でも手縫いなら、歩けなくてもベッドの上でもどこでも作ることができ、「使う人」が「作る人」になることもできるのです。

 

それは「自分には存在意義がある」という自己重要感をうみ、

病床にあっても、生きている・生かされていることを感じることができます。

 

人が最も幸せを感じるのは、

そういう「私はだれかの役にたっている」という実感ではないでしょうか。

 

新時代のまちづくり

これは、特定の場所をもたないリモートワークとして、病床にある人や、子育て中のお母さんでも、3万円のスモールビジネスができ、病気の方や女性の働き方に、一石を投じることができると考えています。

プレゼンの結び

ぼくは生まれ故郷の兵庫県に帰ることも考えました。でも群馬県に残ることを決めました。群馬の人たちの温かさにいっぱい触れたからです。

  1. 「群馬県民の山田」としてとりこっとんを発信し、ぼくたちを受け入れていくれた群馬のみなさまに恩返ししたい。
  2. 人間の尊厳をカタチにしたい。
  3. ぼく達のようにしんどい思いをする人を一人でも減らしたい。

とりこっとんを通して、やりたいことがいっぱいあります。だけど今のぼくたちは、無い無い尽くしです。人もモノもお金も情報もノウハウも。あるのはただ1つ。なんとかとりこっとんを実現させたい、という熱量だけです。

 

ぜひ、ぼくたちに力を貸してください。よろしくお願いいたします。

サイドストーリー

なぜ行政書士事務所を?

15年以上前のことです。亡妻が税理士など個人事務所へのあこがれを口にするようになりました。

 

「自宅兼事務所ならずっといっしょにいられるのにね」

 

群馬に来てからこの頃の言葉を思い出しました。

そこで看病の傍ら、六法全書と問題集を買い込んで独学で資格試験に挑みました。【夢よ再び】という想いでした。

 

合格証書をもらうとすぐに開業の手続きを進めました。事務所の看板を掲げたときの嬉しそうな顔を今でも覚えています。

気になるポイント

市場規模の見通しは?

リンパ浮腫の患者さんは国内に10万人~15万人いるといわれています。

 

このうち、滲出に苦しんでいる人がどのくらいいるのかは、医療従事者でさえ把握できていないのが実情です。

 

決して大きくはない需要をていねいに拾って、完成品を届けたいと思っています。

誰がつくるの?

つくり手は、大きく2つのグループから構成されます。

 

  1. 布ナプキンの愛用者で、かつ、とりこっとんの趣旨に賛同してくださる子育て中のママさんたち。
  2. とりこっとんの愛用者で、かつ、つくり手になる意欲のある方。

男性用はつくらないの?

空色や若草色など、男性用もご用意できます。

 

リンパ浮腫に苦しむのは、約9割が女性です。女性は、男性に比べて筋肉量が少ないことが原因だそうです。そこで、今回のプレゼンでは、リンパ浮腫に苦しむ象徴的な存在として、女性を対象としてお話いたしました。

今後の展望は?

今回のプレゼンでは、亡妻を実例として「ふくらはぎ用」のシート&ホルダーをご提案しました。

 

訪問看護ステーションでお話をうかがったところ、

  • 太もも用
  • わきの下用
  • 胸の下用

もほしい。ぜひ実現させてほしいとのお声をいただきました。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2019年9月6日