遺言公正証書の「原本・謄本・正本」って何?

公証役場で遺言公正証書を作成する際、原本・謄本・正本という、名前の似た3種の文書ができあがります。

 

それぞれの違いについて見ていきましょう。

遺言公正証書の原本とは

原本とは、一定の内容を表示するために確定的なものとして作成された文書であって、謄本や正本の基になる文書です。

 

「オリジナル」という表現の方が分かりやすいかもしれません。

 

原本には、嘱託人等の署名押印があります。

 

原本には、印鑑登録証明書や運転免許証の写し等の添付書類が一緒に綴じられています。

 

原本は公証役場で厳重に保管されますから、盗難や紛失、改ざんを気にする必要がなくなり安心です。また、原本は、公証役場の外に持ち出すことが原則として禁止されています。 

遺言公正証書の謄本とは

謄本とは、公証権限を有する公証人が、原本の内容をそのまま写して作成された書面のことをいいます。

 

謄本は、原本に基づいて作成された旨が附記され、謄本である旨の公証人の認証があります。

遺言公正証書の正本とは

正本とは、謄本の一種です。

 

正本は、公証権限を有する公証人が、原本の内容をそのまま映して作成された書面のことで、原本と同一の効力を有します。

 

遺言公正証書の原本は、公証役場で保管されますから、遺言者本人には正本が交付されます。

 

遺言公正証書の正本には、正本である旨や作成の年月日が記載され、公証人の署名押印がされています。


遺言公正証書の原本の保管

遺言公正証書の原本の保管期間・保管方法

完成した遺言公正証書の原本は、作成した公証人が所属する公証役場で厳重に保管されます。

 

遺言公正証書の原本は、原則として遺言者が120歳になるまで保管されます。

 

平成23年の大震災を機に、海のそばにある公証役場等では原本・謄本・正本のすべてが滅失するおそれがあることから、原本をパソコンでスキャンしたデータも併せて保管されるようになりました。

 

この取り組みは、平成26年4月に始まっており、データは日本公証人連合会の本部(東京)で保管されています。

 

さらに、データは広島と関東某所のデータセンターにも保管してあり、関東某所がどこなのかは、公証人にすら知らされていないという念の入れようです。

 

紙が1か所・データが3か所、全部で4重の保管です。 

保管期間・保管方法とも万全を期してあり、安心感がありますね。

遺言公正証書の原本の保管料

遺言公正証書は作成時に作成手数料がかかりますが、その後の原本の保管料はかかかりません。